ある日、サラマツ・ジブリンさんが近所の川で汲んだ水を娘(赤ちゃん)に与えたところ、娘は泣き出しました。ジブリンさんは最初、娘がなぜ泣き出したのかわかりませんでしたが、やがて娘が血尿を出し、下痢をするようになると、娘が飲んだ水が汚染されていることは明らかになりました。
ジブリンさんはナイジェリアのグワコに住む農婦で、Global Citizenが擁護する人々のうちの一人であり、6部構成のドキュメンタリー『 ACTIVATE:The Global Citizen Movement 』(National GeographicとProcter & Gamble社が企画、Global CitizenとRadicalMediaが共同制作)で女優のウゾ・アブダさんが出会う人々のうちの一人でもあります。きれいな水についてのこの第6エピソードの全編は、 ここ から視聴できます。
ナイジェリアのエド州を訪ねたアブダさんは、同州のコミュニティにおける飲料水へのアクセスや衛生状態を確認した後、指導者たちに行動を呼びかけます。
同国では人口の 70% がきれいな水や衛生設備にアクセスできず、ジブリンさんもそうした人々の一人です。
アブダさんに託したナイジェリアの指導者たちへのメッセージのなかで、ジブリンさんは「きれいな水が飲めるように、ここには良質な深い井戸が必要なのです」と訴えます。
ナイジェリアは 世界的な水危機 の影響を最も受けたサブサハラ・アフリカの46カ国のうちの一つです。また、きれいな水にアクセス できない 7億8,300万人のうち40%がサブサハラ・アフリカに住んでおり、安全な飲料水を利用できない人の数は3億2,000万人を 超えます 。
貧困は水と衛生設備へのアクセスを妨げる大きな障壁となっており、世界で 最も貧しい国々 のほとんどはサブサハラ・アフリカに位置しています。
自然災害、汚染の増加、そして資源不足といった要因はすべて、サブサハラ・アフリカにおける水危機を助長しています。以下を読み、この課題についてもっと学びましょう。
1. 給水および衛生設備へのアクセス
衛生施設があれば人間の排泄物は人間と接触しないように安全に分離されますが、衛生的なトイレを利用できない人々は屋外で排便し、放置された排泄物は人々の食べ物や水資源に取り込まれてしまいます。世界中の「屋外で排便する人口」のうち 4分の1 はサブサハラ・アフリカに住んでおり、そうした人々は平均して年に2.5日分の時間を、人に見られずに排便できる場所を探すために費やしています。女性は安全な場所を探すのにさらに多くの時間を費やしており、その過程で性的な暴力を受けることもあります。
汚染された飲料水の使用や劣悪な衛生状態は、 結果 として、下痢、コレラ、赤痢、腸チフスなどの水媒介性疾患に対する脆弱性を高めます。南アジアやサブサハラ・アフリカでは、2歳未満の子どもの死亡が世界のどこよりも多く 発生 しています。また、アフリカでは1時間 ごとに 115人が、劣悪な衛生設備・衛生状態や汚染された水に関連する病気で死亡しているとも報告されています。
人々がきれいな水や衛生設備にアクセスできないと、就学率の低下、欠勤、栄養失調、貧困といったリスクにもさらされます。女子や女性が安全な衛生設備と水にアクセスできないと、彼女たちは period poverty(生理の貧困) に直面し、生理用品を買う余裕がない、安全に自分自身を清潔にすることができない、男女別々のトイレを利用できないといった状況に見舞われ、学業がおろそかになってしまいます。
アフリカ――特にサブサハラ・アフリカ――では、人口の 4分の1超 が、一回の水汲み場への往復に30分以上を費やしています。水汲みの仕事は女性が担う 傾向 が強く、こうした負担もまた女子の就学を妨げる場合があります。
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2.衛生の格差
国連 によると 、サブサハラ・アフリカの人口は過去25年間でほぼ倍増していますが、衛生設備や水へのアクセスはほとんど改善されておらず、数百万人が取り残されています。きれいな水と排水設備へのアクセスが改善された地域でさえも、膨大な数のアフリカの人々がこれらの必需品なしで暮らしています。また、給水率が最も高いサブサハラ・アフリカの国々でも、 4人に1人 が依然として十分な衛生設備を欠いています。ユニセフ によると 、農村部の住民は しばしば 都市部の住民よりも水と衛生設備へのアクセス状況が悪く、そのための農村地域での資金配分はまばらで不十分です。
海外からのほとんどの開発援助は既に順調に発展が進む国々に 送られ ており、農村地域では水と衛生設備へのアクセスが大幅に遅れているにもかかわらず、国外・国内両方からの資金は主に都市部のシステムへと流れています。その結果、都市部に住む裕福な人々がよりきれいな水とより良い衛生システムをより少ないお金で利用している一方で、恵まれない都市部の人々は水のためにはるかに多くの お金をかける 事態となっています。
3.緊急事態と災害
洪水と干ばつは、サブサハラ・アフリカで発生する 最も危険な 水関連の災害です。洪水は飲料水を汚染し、衛生・廃水システムを破壊します。一方の干ばつは、食糧不足が引き起こす栄養失調やその地域への給水停止により、最も多くの死者を出します。サブサハラ・アフリカでは、人口の66%(3億人)が降雨量ほぼゼロの地域に 住んで おり、農作物の不作や農業活動の失敗に見舞われています。
気候変動はサブサハラ・アフリカにおける水の利用可能性の予測を困難にしており、飢餓や健康危機を 加速 して、貧困の増加や人口全体にわたる収入の減少を招いています。近年の干ばつは、気候変動の 影響もあり 、より乾燥化・長期化する傾向にあります。
4.水資源
アフリカの人口増加により、水への需要が高める一方、水資源の利用可能性は低下しています。政府が抜本的な措置を講じない限り、サブサハラ・アフリカの都市スラム人口は2020年までに4億人に達することが 予想され ています。
この10年間は武力紛争も世界中で増加しており、何百万もの人々が 移動を強いられ て、水や衛生設備などの基本的ニーズを供給しなければならない受け入れ側のコミュニティに課題を呈しています
サブサハラ・アフリカ地域の3分の2は、ほぼまたは完全に地表水――河川、湖沼、湿地などの地表に存在する水――に 依存 していますが、地表水は しばしば 汚染度が高く、信頼できる安全な飲料水源とはみなされていません。乾燥した地域の新鮮できれいな水源からの水送出用インフラや井戸の掘削は費用がかかりすぎるため、それらのコミュニティは危険な代替手段に頼らざるを得ないのが現状です。
現在行われている活動は?
Global Goal 4では、2030年までにすべての人々のために水と衛生設備の利用可用性を確保し、持続可能な管理を実行することを 目指し ています。そしてこの目標を達成するために、いくつかの組織が行動の変革と教育を促進するプログラムに取り組んでいます。
たとえば、水供給衛生協力協議会(WSSCC)は、「コミュニティベースの、公的支援および民間運営によるプログラムを通して衛生設備と衛生状態を改善し、数百万の人々に手を差し伸べる」ことに 専念する 、世界で初めてかつ唯一の基金を運営しています。
慈善団体のUnited Purposeは、女性とコミュニティに力を与えて彼らが権利を主張できるようにし、良好な衛生環境と衛生状態を促進して水媒介性疾患を減らすために、サブサハラ・アフリカ全域で 活動しています。