「教育は銀の弾丸だ。教育はすべてだ。小規模な変化ではなく、巨大で記念碑的な変化を必要としている。学校は宮殿であるべきだ。最高の教師を巡る競争は激しくなるべきだ。彼らは高額の給料を得るべきだ。学校は、政府にとってはとてつもなく高価であるべきだが、国民には国防のように、完全に無料であるべきだ」

この言葉は、ドラマ『The West Wing(ザ・ホワイトハウス)』のロブ・ロウ演じるキャラクターが語ったものですが、本当にその通りです。教育は健康から貧困に至るまで、あらゆるものに影響を及ぼします。教育は世界的にも貧困の連鎖を断ち切る鍵として認識されています。それは、教育が他にも地域を不平等なシステムに閉じ込める多くの課題を解決する力を持つからでもあります。

教育があれば、仕事やリソース、スキルの扉が開かれ、人は生きるだけでなく、豊かに成長することができます。実際に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)によると、低所得国のすべての学生が基本的な読み書き能力のみでも身につければ、なんと1億7,100万人もの人々が極貧から抜け出せると推定されています。

貧困は深刻な公衆衛生上の危機です。そしてずっと以前から、教育水準の低い人ほど健康を損ないやすいことが指摘されてきました。これはお金の問題も大きく、貧しい人たちは医療や栄養のある食事、きれいな水など、健康に必要なものが手に入りません。他にも、健康についての知識が足りないことも原因です。

例えば、世界の低所得国では、薪を燃やして調理することと呼吸器疾患の関係を知らないため、何万人もの女性がその原因すら知らずに亡くなっています。ただし、こうした情報が伝わっても、そもそも他の選択肢がない場合はすぐには状況が変わらない点を理解することも重要です。

体調不良もまた、貧困の大きな原因の一つです。医療費や薬代、検査費、病院までの交通費に加えて、病気で働けなくなることで収入が無くなってしまいます。家族が看護のために仕事を辞めざるを得ない場合もあります。

要するに、教育を受けられない状況は、経済的なチャンスが減るだけでなく、医療やヘルスケア情報へのアクセスも少ないため、貧困の連鎖が続いてしまうことを意味します。教育と保健医療、この2つの分野のつながりは極貧の終結には欠かせません。

ここからは、教育と健康が繋がっている4つの理由を紹介します。見ていきましょう。

1. 学校に長く通うほど、寿命も長くなる。

このことは、世界中のたくさんの研究で明らかにされています。

例えば、2020年にイェール大学が発表した調査では、アメリカの大人の場合、学歴が1つ上がるごとに平均1.37年も寿命が伸びることがわかりました。

同様に、2022年の別の研究では、サハラ以南アフリカで学歴が高いほど長生きできることが示されました。

またインドでは、15歳時点で成人識字者と非識字者の平均余命を比べると、非識字の男性で約3.5年、女性で5.7年も短いそうです。

2. 教育があるほど、健康のためのリソースも増える。

教育レベルが高いほど良い仕事に就きやすく、収入も増える傾向があります。そうなれば、健康的な食事や医療サービスへのアクセスもずっと楽になります。

逆に、学歴が低いと不安定な雇用や低賃金で苦労しがちで、生活が厳しくなり、栄養や住環境、医療ニーズが満たされない事態にも繋がります。

3. 教育を受けることで、ヘルスリテラシーも上がる。

教育水準が高いと健康やリスクについての知識・情報を得やすくなり、複雑な健康課題もよりよく理解できます。

例えば、ハーバード大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、世界銀行の研究者たちが2008年に出した研究によれば、HIVについての教育を受けた人ほど、HIVやエイズに感染するリスクが低くなっています。当然ですよね?だから教育は、世界中のすべての人に届くべきなのです。

4. 教育は、予防医療への意識も高める。

教育があると、体調不良のサインに早く気付き、適切な医療を受けられるようになります。

たとえば、がん検診などで早期発見できれば、進行を遅らせることができます。予防医療に積極的になれば、がんを早期に発見し、重い化学療法などのリスクを減らすことにも繋がります。

教育の力を解き放とう

FIFA Global Citizen教育基金は、世界でも特に学びのチャンスが少ない地域で教育へのアクセスを広げ、地元でたくましく生き抜いたり、世界に羽ばたくチャンスをつかむために、若い世代が自分の道を選べる力を手にできるよう取り組んでいます。

Global Citizen Explains

貧困の撲滅

本当に教育が命を救う、その理由。

作成者: Tess Lowery